【ゲーテ】今の恋が苦しくなった時によみたい詩『喜びに満ちて、苦しみに満ちて』
こんにちは、ユカです。
今回は、「恋愛」がテーマの詩についてお話ししていきます。
恋の苦しみは古今東西、共通のもの!
恋を楽しみ、恋に苦しんだのは、昔の人も同じこと。
どのような身分の人であれ、同じことでした。
そして芸術家達はその気持ちを、詩や絵や音楽にして表現しました。
芸術を通して、現代を生きる私たちもその気持ちに共感し、
自分を重ねることが出来ます。
そうする事で、自分の気持ちが慰められたりするのです。
偉大な人物であっても、現代の私たちのように、恋に悩む。
そんな感情を、今回は詩を通して味わってみませんか?
今回は、ドイツの詩人ゲーテの作品の一つ、
“Freudvoll und leidvoll”(喜びに満ちて、苦しみに満ちて)
をご紹介します。
ゲーテの戯曲『エグモント』にて、
主人公エグモントに恋した少女クレールヒェンが、
戻っていない彼を待ちながら歌った歌です。
あのベートーヴェンが作曲しました!
恋の苦しみを熱烈に描き出しながら、
恋の幸せを訴える彼の作品の一つ。
恋に苦しみながらも、今の恋の否定はしない、
そんな方によりそってくれる詩であればいいなと思います。
“Freudvoll und leidvoll”(喜びに満ちて、苦しみに満ちて)【本文】
それでは本文の方へ入っていきましょう!
稚拙ではありますが、私が翻訳してみたものです。
色んな方が翻訳されているので、色々な訳を探してみるのも楽しいですよ!
『喜びに満ちて、苦しみに満ちて』
喜びに満ちて
苦しみに満ちて
物思いに沈む。
手を伸ばして
不安になる
それは、浮いたり沈んだりする苦悩の中で。
天にも昇る心地に歓喜の声をあげ
死ぬほどまでに心もだえる
幸せなのだ、
誰かを愛する人は。
↓こちらドイツ語バージョンです!
“Freudvoll und leidvoll”
Freudvoll
Und leidvoll
Gedankenvoll sein;
Langen
Und bangen
In schwebender Pein;
Himmmelhoch jauchzend
Zum Tode betrübt;
Glücklich allein
ist die Seele, die liebt
この詩の意味は?
いかがですか?
かなり、情熱的な歌ですよね。
あまり愛情を表に出さない日本人からすると、
照れ臭く感じるかもしれません。
ですが、特に遠距離恋愛中の方は共感する部分が多いのではないでしょうか?
喜び、苦しみ、色々考えて悩んでしまう…
恋をしている時に、揺れ動く心の動きが表現されています。
恋をしている時は、強い喜びを感じます。
好きな人の顔を見られた時、
少しだけでも会話出来た時、
心が通じたと感じる時…
まさに天にも昇るかのような喜び、幸福感で胸がいっぱいになります。
しかし、
どのような恋にも苦しみはついてきます。
恋人に会えない苦しみ、
嫉妬、
未来への不安、
相手への猜疑心、
相手の気持ちを理解出来ない辛さ…
不安で、怖くて、切なくて、まるで身体が千切れてしまうかのようです。
これをゲーテは「死ぬほどまでに心もだえる」と表現したのですね。
天にも昇るも気持ちになり、死ぬほどまでに苦しくもなる。
天国も地獄も経験することが、まさに恋をするということです。
心は揺れ動き、コントロール出来ない感情に振り回され…
恋なんてしなければ良かった。
出会わなけれな良かったのに。
とさえ思ってしまいますが、ゲーテは最後にこう言います。
「幸せなのだ、誰かを愛する人は」と。
恋の苦しみをずっと語りながら、
最後の最後で、
恋をする人、誰かを愛する人は
幸せだと肯定してくれます。
どれほど苦しくても、恋をすることは幸せなのだとゲーテは言い切ります。
生きることへの肯定でもあります。
さすがゲーテ!といった感じです。笑
私がこの詩を初めて読んだ時、恋に悩んでいました。
お互い「理想の人だ!」と感じたにもかかわらず、
付き合った当初よりも、冷めてきたような彼が理解出来ず、
不安でいっぱいでした。
彼からの愛情や優しさは感じていたので、
彼を疑ってしまう自分にも嫌気が差していました。
(「周りが見えないほど恋愛で頭いっぱい!」という状態から、少し落ち着いた関係になっただけなのですが、当事者は分からないものです…笑)
友人に相談してみるも、「彼氏酷いね!別れたら?笑」
なんて言われてしまい、かえって傷ついてしまいました。
「私自身」の気持ちについて話したかったのに、
彼の悪口を言われてしまうなんて…。
相談しなきゃ良かったなーなんて思っていた時に、
この詩に出会いました。
昔からロマンティクなものが大好きだった私、
すぐにこの詩に感情移入しました。笑
そして、「そうだよね!恋って楽しいけど苦しいよね!」
と共感しました。
同時に、私って「当たり前」の事を経験しているだけか、と
肩の力が抜けたことを覚えています。
ゲーテの「誰かを愛する人は幸せだ」という言葉にも救われました。
まとめ
恋している時に苦しくなるのは、当たり前のこと。
恋=幸せだけ という訳ではありません。
いつもいつも幸せなら、それは恋ではないような気がします。
(もしいつも幸せなら、恋が「愛」や「絆」へと変わったのかも!)
今の恋が苦しいんだけど、誰にも分かってもらえなさそう…
誰かに相談するのが怖いな…
だけど、誰かに肯定してもらいたい!
ゲーテの『喜びに満ちて、苦しみに満ちて』は、
そう思っている方々に寄り添ってくれるような詩だと思います。
たまには、偉人の詩の世界にどっぷり浸かってみましょう!
もっとドイツの詩について知りたい!
と思った方には、こちらの書籍がオススメです。
作者である森泉朋子さんが、女性らしい感性で
わかりやすくドイツ詩について解説してくださっています。
とっつきにくさがなく、楽しみながら読んでいけます!
個人的には、ドイツ詩の解釈について書かれている本の中で
一番気に入っています。
今回のブログも、こちらの本から参考にした部分もあります。
読めば読むほど「なるほどな」と納得させられますし、
また、詩の世界へと入り込んでしまいます(笑)
気になった方は是非みてみてください!
それでは、ごきげんよう。